子ども達の結婚式に出席し、スピーチをするのが夢
▼田中秀昭・静乃さん(東京都在住)
【リード】
2008年から2年間3人の留学生(2009年には同時に2人預かって下さいました)のホストファミリーをされた田中さんご夫妻。いつもどの留学生とも徹底的に向き合って下さいました。同じ人間だからどの国も一緒と思っているから、戸惑うことも困ることもなかったというお二人にお話しを伺いました。
ホストファミリーになろうと思ったきっかけは?
住んでいる地域がたまたまアメフトに力を入れていて、自身アメフトをやっていることから、アメリカからのUnder 19の選手を短期で受け入れたのが最初。それでやってみようと思った。
留学生の扱い
3人それぞれ個性があり、性格もまちまちだった。時間が全く管理できない子もいれば、友達がなかなかできないわがままな子、頭がよくしっかり者の子もいた。
受け入れる以上、国籍も関係なく、留学生としても扱わず、本当に家族として受け入れた。遠慮はせず、怒る時は厳しく怒ったりもした。
コミュニケーションの大切さ
英語を使うことができるが、基本的に日本語で話した。食事中は一切英語は禁止というルールもあった。食事中は主にその日に何があったのかを話をする時間にしていた。
誤解などがあった時には徹底的に話をした。あくまでも日本語。これは崩してはいけないルール。難しい時だけ英語を混ぜながら解るまで話した。
実際の生活
最初はどの留学生も遠慮をしているし、プライドもあるし、警戒もしている。それを1つずつ剥がしていく作業は大変だけれど、必要だしとても大切。
生活自体に慣れるのは約1ヶ月くらい、家族になるのは3ヶ月くらいかかる。
ファミリールール
ルールは挨拶をすることと、遅くなる時は必ず連絡をすること。出かけるときは誰とどこに行くかも必ず言わせた。ルールが守れない時などは座らせて注意をした。駄目な時は遠慮なく話した。
ただ夫婦二人で怒ることはしなかった。怒ったり、注意したりするのは自分の役目にし、奥さんは逃げ場的存在でいた。怒る時もヒステリックに怒ったり、怒鳴ったりは絶対にせず、論理的に話をした。
留学生の面白エピソード
ある日、留学生が家の鍵を失くして、家に入れずパニックに陥ったその子は、緊急時のためにと渡しておいた自分の名刺を見て、会社に電話してきた。電話に出た受付の人に、片言の日本語で名前を名乗り、秀昭さん(普段からそう呼ばれていた)いますか?と・・・。若い外国人の女の子が、秀昭さんと呼んでいたことで、会社でも話題になり、さすがにこれには参った。
家に帰ってそれを話すと、その留学生は「じゃあ今度は制服で会社に行って外から秀昭さ~んと呼ぶね」とけらけら笑いながら言われてしまった。
留学生との生活を通して良かったこと
自分達には子供がいないから、家族が増える、家族ができる喜びを味わえた。また留学期間が終わっても、交流が続いていて、遊びに行ったり遊びに来たりしている。
昨年の震災時には留学生たちが泣きながら電話をかけてきて、とても心配してくれた。
ホストファミリーとして「一番大切なこと」
特別扱いしないこと。本当の意味で家族として扱う。本当の自分の子供として預かること。そのためには覚悟が必要。覚悟があれば本気で怒ったり、腹を割って話す事ができる。それを行動で子供たちに見せることで信頼関係ができていく。だから遠慮をしてはだめ。
これからホストファミリーになる方へのアドバイス
遠慮をしないこと。意見の相違などを避けてはだめ。話す時は2~3時間になることもあるが、感情的にではなく論理的に説明し気持ちをぶつけなくてはならない。努力と勇気が必要。そうでないと心理的な距離感は縮まらない。